「iPhoneではPWAが終了した」
2024年ごろ、このような情報を見た人も多いかもしれません。
実際、Appleは2024年にEU向けのiOSでホーム画面Webアプリ(Home Screen Web Apps)の機能を削除する計画を一度発表しました。
しかし、この計画はその後撤回されています。
そして2026年現在、iPhoneのPWAは終了していません。
むしろ現在のiOSでは、Webサイトをホーム画面からWebアプリとして起動する仕組みが、以前より広いWebサイトで利用できるようになっています。
では、なぜ「iPhoneのPWAは終了した」という話が広まったのでしょうか。
この記事では、2024年に起きたPWA終了騒動から、現在のiPhone・Safari・ホーム画面Webアプリの状況まで整理します。
結論:2026年現在、iPhoneのPWAは終了していない
まず結論から言うと、iPhoneのPWAやホーム画面Webアプリは終了していません。
iPhoneでは現在もWebサイトをホーム画面へ追加でき、ホーム画面からWebアプリとして起動できます。
Web App Manifestも引き続き利用でき、アイコンや起動URLなど、ホーム画面Webアプリの動作を設定できます。
さらにService Workerを利用したオフライン対応や、ホーム画面WebアプリからのWeb Pushなどもサポートされています。
つまり、「SafariからPWAが削除された」「WebClipだけになった」という状態ではありません。
なぜ「iPhoneでPWAが終了する」と言われたのか
この話のきっかけは2024年です。
EUのDigital Markets Act(DMA)への対応に伴い、AppleはiOS 17.4でブラウザエンジンなどの仕組みを変更しました。
その過程でAppleは一度、EU地域においてHome Screen Web Appsの機能を削除する計画を発表しています。
これにより、ホーム画面へ追加したWebサイトが従来のWebアプリとして動作せず、ブラウザで開くブックマークに近い動作になる可能性がありました。
この発表をきっかけに、
- 「AppleがPWAを廃止する」
- 「iPhoneではPWAが使えなくなる」
- 「SafariのPWAは終了する」
といった情報が広まりました。
しかしAppleはPWA削除計画を撤回した
ところが、この方針はそのまま実施されたわけではありません。
Appleはその後、Home Screen Web Appsを継続してほしいという要望を受け、EUでも従来の機能を提供し続ける方針へ変更しました。
そのため、正式版のiOS 17.4ではHome Screen Web Appsの機能が継続されています。
つまり2024年に起きた出来事を正確に整理すると、
「PWAが終了した」のではなく、「EUで終了する計画が一度発表されたが、その後撤回された」
ということになります。
その後もiPhoneのWebアプリ機能は追加されている
PWA終了説とは反対に、その後のSafari・WebKitではホーム画面Webアプリ向けの機能も引き続き開発されています。
例えばiPhoneでは、ホーム画面へ追加したWebアプリでWeb Pushを利用できます。
さらに2025年には、Service Workerを必須とせず通知を扱える「Declarative Web Push」もiOS 18.4で追加されました。
少なくとも現在のAppleの動きを見る限り、ホーム画面Webアプリという仕組み自体を廃止する方向には進んでいません。
iOS 26では「すべてのWebサイト」がWebアプリになった
さらに大きな変化がiOS 26です。
以前のiPhoneでは、ホーム画面からWebアプリとして起動するために、Web App Manifestのdisplayや従来のmetaタグなど、Webサイト側の設定が関係していました。
しかしiOS 26では、この仕組みが変更されています。
ホーム画面へ追加したWebサイトは、デフォルトでWebアプリとして開くようになりました。
つまり、Webサイト側が従来のPWA設定をしていない場合でも、ユーザーがホーム画面へ追加すればWebアプリとして利用できます。
追加時には「Webアプリとして開く」をオフにして、通常のブラウザで開くホーム画面ブックマークとして保存することもできます。
これは「PWAを終了する」というより、むしろホーム画面Webアプリの入口をすべてのWebサイトへ広げた変更と考えた方が実態に近いでしょう。
ではWeb App Manifestはもう不要なのか?
ここは少しややこしいポイントです。
iOS 26では、Webアプリとしてホーム画面から起動するだけなら、従来のようなManifest設定は必須ではなくなりました。
しかし、Web App Manifestそのものが不要になったわけではありません。
Manifestを設定することで、例えば次のような情報をWebアプリへ与えることができます。
- アプリ名
- ホーム画面アイコン
- 起動するURL(start_url)
- 表示方法(display)
- アプリとして扱うURL範囲(scope)
Apple自身も、iOS 26の変更について「Web App Manifestのサポートを削除するものではない」と説明しています。
つまり2026年のiPhoneでは、
Webアプリとして開くだけなら簡単になった。しかし、どんなWebアプリとして動かすかを設計するManifestは今も重要。
という状態です。
iPhoneのPWAとAndroidのPWAは同じではない
ここでもう一つ注意したいのが、iPhoneとAndroidでは「PWA」の扱いが完全に同じではないことです。
AndroidのChromeでは、Web App Manifestやインストール条件をもとに、Webアプリとしての扱いが決まるケースがあります。
一方、現在のiPhoneではユーザーがホーム画面へ追加すること自体が、Webアプリ化の入口になっています。
そのため「PWAとはこの条件を満たしたWebサイト」という一つの定義だけで、iPhoneとAndroidの挙動を説明するのは難しくなっています。
OJappのPWA LABでも、同じManifestを使っていてもiPhoneとAndroidでscopeやアイコン、表示方法などの挙動が異なるケースを実機で確認しています。
2026年のPWAは「終了」ではなく形が変わっている
2024年の出来事だけを見ると、「AppleがPWAから撤退する」と感じても不思議ではありませんでした。
しかし、その後の流れを見ると結果は逆でした。
- EUでのHome Screen Web Apps削除計画は撤回
- ホーム画面Webアプリのサポートは継続
- Web Pushなどの機能も継続・拡張
- Web App Manifestも引き続き利用可能
- iOS 26ではすべてのWebサイトをWebアプリとして開ける方向へ拡張
そのため2026年現在、「iPhoneのPWAは終了した」と考えるのは正確ではありません。
むしろ面白いのは、「PWAとして作られたWebサイトだけがアプリになる」という境界が薄くなっていることです。
Webサイトがあり、ユーザーがそれをホーム画面へ置く。
そして必要であれば、開発者がManifestやService Workerを使って、さらにアプリらしい体験を追加する。
iPhoneのホーム画面Webアプリは、そんな方向へ変化しています。
まとめ:iPhoneのPWAは終わっていない
2024年には、確かにAppleがEUでHome Screen Web Appsを削除する計画を発表しました。
しかしその計画は撤回され、その後もホーム画面Webアプリの機能は継続されています。
そしてiOS 26では、ホーム画面へ追加したWebサイトをデフォルトでWebアプリとして開くという、さらに大きな変更が入りました。
PWAが終了したのではありません。
「どのWebサイトをアプリとして扱うか」という考え方そのものが変わってきています。
Webとアプリの境界はなくなったわけではありません。
ただ、その境界は以前よりずっと曖昧になっています。
